編集者のきまぐれ日記 - ループスプロダクション

編集者のきまぐれ日記

― 出版業界で働く人の本音満載 ―

当社で働く編集者たちが、本づくりで感じたことや社内の出来事、
はたまた日ごろ思うところを気ままに綴ります。

2019/11/29 Fri.

漢字表記かひらがな表記で迷った5分

ごくごく稀に、きまぐれに日記を書いている金丸です。

ここ2カ月近く、日記を更新していませんでした。

気まぐれ日記と題していますが、さすがに気まぐれが
過ぎるだろうと、今日は私が書いてみることにしました。

編集者という職業柄、日々日本語の奥深さと
格闘しながら仕事をしています。

本日の作業中、「食べてきた」という動詞において、
「きた」を漢字で表記すべきか、ひらがなで
表記すべきか、5分ほど迷いました。

要するに「食べてきた」と書くか、「食べて来た」と書くか。

感覚的には「食べてきた」が妥当と思いながら、
文法として、いかに妥当かを明確にできず……。

というわけで、少し調べてみました。

このケースでの「~てきた」「~てくる」は、補助動詞であり、
「来る(come)」という動詞の本来の意味から離れます。
動詞としての独立性がなく、ひらがなで書くべきようです。

「食べていく」も同様ですね。

そんなことなと考えているうちに、
『本多勝一のこんなものを食べてきた! 』(朝日新聞社)という
本の書名が目に入りました。ああ、なるほどと合点がいきました。
この場合の「~てきた」は、時間の経過を表しています。
「来る(come)」の意味はもちません。

そういう点では、「昨日、イベントに行って来た」という例文が
わかりやすいのかもしれません。
「行って」、その後に「来た」わけではないですし。
「昨日、イベントに行ってきた」が妥当でしょう。

そもそも、無意識に「合点がいきました」とひらがなで
書いている時点で、日本語話者として、その理屈は脳の
どこかが知っているのでしょう……が、
いざ文法的に説明しようとするとむずかしいものだな、と。

NPB・MLB通算4257安打のイチローをもってして
「バッティングがわからない」と言わしめる、奥深き野球。

今のところ、私が「日本語がわからない」といったら
仕事が来なくなるだけなので……。
定年を迎えた日の帰り道、このセリフをつぶやいて
様になるまでに精進を続けたいと思う今日この頃です。

2018/11/30 Fri.

5章の原稿を……

くださいませ……