“読書の夏”を満喫した編集者が選ぶおすすめ小説3選
こんにちは、
夏らしいことをまったくせずに9月を迎えてしまった出口です。
ZIELでは、日々の暮らしをより楽しく送れるよう、
季節を取り入れた記事を発信しているのですが、
その記事をつくっている私はと言うと家に引きこもりがち。
このご時世ですし、仕方のないことかもしれませんが、
いざ夏が終わりに向かっているのを実感すると悲しく思います……。
外に出ずに何をしていたかというと、読書です。
ZIELでは「ZIEL編集部が選ぶ 今、読みたい本」という連載を担当しているので、
連載を始める前よりもより多くの本を読むようになりました。
せっかくなので(?)、夏のあいだに読んだ本のうち、
ZIELの記事では紹介しきれなかった作品を紹介させてください!
左:児玉雨子『誰にも奪われたくない/凸撃』(河出書房新社)
ハロプロをはじめとするアイドルへ数多くの歌詞提供をしている作詞家の児玉雨子さんの初小説。ハロプロファンでもあり、児玉雨子さんの書く歌のファンでもあるので、発売日に書店に駆け込みました。
作詞家のレイカとアイドルの真子が出会い、距離を縮めていく……というストーリーなのですが、そこにあるのは “仲良し” ではない、“最適な他人” としての関係。生きづらい、窒息しそうな今を生き抜くための交友関係なのです。
あまりに歪すぎる関係を描いた作品ですが、読んでみると一文一文がとにかく突き刺さる。心の不安定な部分に、とにかく刺さる表現で溢れているんです。作曲家でもアイドルでもないのに、まるで私のことを描いた作品なのではないか、と勘違いしそうになりました。
いつもハロプロの歌詞から感じている「雨子節」が存分に発揮されていて、「雨子最高!!!!!」とテンションがブチ上がる作品です。児玉雨子さんが作詞を担当したアンジュルムの「46億年LOVE」が好きな方は、絶対に好きな小説のはず。とりあえず、このページを開いたまま「46億年LOVE」を聴いてみてください。
中央:花本幸枝『60歳からの着こなし』(大和出版)
ZIELでもたくさんお世話になっている、グッドエイジスタイリスト・花本幸枝さんの初の著書です。
「自分の気分をあげるのは、誰かではなく、『私』です」という一文が心に響きました。楽しく生きるためのポイントは何歳になっても変わらないんですよね。骨格やパーソナルカラーやトレンドを意識したほうがおしゃれな人に見られるのかもしれませんが、「今の自分が一番好き!」と思えるファッションのほうが、その人を100倍素敵に見せてくれるし、自分の気分も上がると教えてくれた本でした。
「60歳からの着こなし」と題した本ですが、「おしゃれのルール」ではなく、「おしゃれを楽しむコツ」を教えてくれる本なので、年代関係なくタメになる1冊です。
右:朝井リョウ『風と共にゆとりぬ』(文春文庫)
『桐島、部活やめるってよ』でデビューし、『何者』で直木賞を受賞した小説家・朝井リョウさんのエッセイです。このエッセイ、とにかくゲラゲラ笑えます。朝井リョウさんとレンタル彼氏が会う「対決!レンタル彼氏」や、小説家の柚木麻子さんと朝井さんが、共通の知り合いの税理士の結婚式でふざけ倒す「本気!税理士の結婚式で余興」など、珠玉のエピソードが収録されています。
おもしろエッセイが集められているなかでも「肛門記」は至高のエピソードです。肛門記は朝井さんの痔瘻手術体験が綴られたエッセイなのですが、もう、笑いなしで読むことは絶対にできない。カフェで読んでいたら間違いなく不審者だと思われるほどゲラゲラ笑ってしまうので、絶対に家で読んでください。「悲しいことがあったら朝井リョウのエッセイを読む」、これ2021年の夏に獲得したライフハックです。
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秋こそは季節を楽しもうと心に誓った出口でした。